内分泌疾患

ENDOCRINE DISORDERS

甲状腺疾患について

甲状腺とは、頚部の前面の喉仏のすぐ下の位置にある、甲状腺ホルモンを分泌する臓器です。大きさは4-5cm、皮膚の上から触れることができます。
甲状腺ホルモンの作用は、一言で言うと、体を元気に活発にします。体の中では栄養分や水分を利用しエネルギーを作ったりそれらを排泄したりしますが(それを「代謝」と言います)、体の代謝を活発にするホルモンです。また交感神経系と強く関連する働きをし、「闘争と逃走の際に必要なホルモン」とも言われます。
甲状腺ホルモンの分泌量は、脳下垂体から分泌される「甲状腺刺激ホルモン(TSH)」とのネガティブフィードバック(恒常性)によって、常に一定量に調整されています。
ところが、甲状腺ホルモンやTSHの分泌が、この恒常性を逸脱して多く分泌されたり、もしくは分泌量が少なくなると、体や心に病的な症状が引き起こされます。
甲状腺の主な病気は、「バセドウ病」、「橋本病・無痛性甲状腺炎」、「亜急性甲状腺炎」そして「薬剤による甲状腺疾患」に分かれます。

甲状腺の主な疾患

甲状腺疾患には主に4つの種類があります。

バセドウ病
自己免疫反応によって甲状腺から過剰のホルモンが分泌される疾患。症状は、甲状腺腫大・動悸・過剰発汗・手の震え・不眠・不安症・体重減少・下痢などがあります。交感神経が緊張した時の症状に似ています。
橋本病・無痛性甲状腺炎
自己免疫反応によって、甲状腺から甲状腺ホルモンが分泌されにくくなる疾患。甲状腺が破壊される時に一時的に甲状腺ホルモンが過剰分泌されることもあります。(無痛性甲状腺炎と言います)
分泌低下の症状は、むくみ・体重増加・便秘・脱毛・気力の低下、などです。
亜急性甲状腺炎
バセドウ病と同じく甲状腺ホルモンが過剰に分泌されますが、甲状腺に痛みを伴うのが特徴です。風邪の症状の後に発症することが多く、ウィルスが関与しているとも言われています。バセドウ病と似たような症状を引き起こします。お薬を使用することも多いですが、基本的には数週間で治癒します。
薬剤などによる甲状腺疾患
薬剤の影響で起こる甲状腺疾患です。原因薬剤で多いものは、不整脈の薬である「アミオダロン」、「免疫チェックポイント阻害薬」などです。もともと橋本病などの体質がある方が、ヨードを多く含む海藻類などを多く摂取すると甲状腺ホルモンが低下することもあります。原因をなくせば治癒します。

副腎疾患について

副腎は、左右の腎臓の上に乗っている2-3cm程度の小さな臓器です。いくつかのホルモンを分泌する臓器ですが、この2つの臓器がなくなってしまうと生きていくことができなくなるほど重要なホルモンを多く分泌しています。
主に、アルドステロン、コルチゾール、男性ホルモン(女性でも副腎から男性ホルモンが分泌されています)、アドレナリン、ノルアドレナリンを分泌します。
これらのホルモンも、ネガティブフィードバックで分泌を調節されていますが、この調整機構を逸脱して多く分泌されたり、分泌量が少ないと病的な症状を引き起こします。

副腎の主な疾患

副腎には主に3つの種類の疾患があります。

原発性アルドステロン症
副腎からアルドステロンという血圧を上げるホルモンが多く分泌される疾患です。高血圧のある患者さんのうち5—10%を占めるとも言われておりますが、程度は個人差があり、治療の必要がない方もおられます。症状は高血圧と、一部の方に低カリウム血症があります。程度が強い方は、手術により腫れている副腎を摘出することもあります。この疾患であることが判明すると、高血圧の薬の種類が変更される場合が多いです。
クッシング症候群
副腎からコルチゾールというホルモンが多く分泌される疾患です。(下垂体からACTHというホルモンが多く分泌されることが原因の場合もあります)コルチゾールの作用は多岐にわたり、免疫抑制、血圧上昇、骨密度低下、体重増加、皮膚を薄くする、精神興奮作用、などがあります。このホルモンが多く分泌されるこの疾患では、これらの症状が強く起こります。治療により腫れている副腎を摘出すれば治癒しますので、早く発見することが重要です。
褐色細胞腫 / パラガングリオーマ
副腎の中心部である副腎髄質から交感神経ホルモンである、アドレナリンとノルアドレナリンが分泌されますが、これらが過剰に分泌される疾患です。血圧上昇、めまい、頭痛、発汗など、交感神経刺激症状が起こります。治療は、腫れている副腎を摘出します。

その他の内分泌疾患

骨粗鬆症の原因となる「副甲状腺機能亢進症」や、下垂体疾患である「高プロラクチン血症」は比較的多く見られます。